5年前、僕は死んだ。椎堂密が、オメガという存在に変質した—世界滅亡の始まりに。普通に学校に通い、幼なじみに淡い恋をしていた、そんな部分は全部、死んでしまった。オメガたる僕が抱くのは、僕を殺してくれる“あの人”への想いだけ。だから、自分に言い聞かせる。対天使兵器の少女・サクヤ。契約で僕と恋する彼女との日々は、紛いモノに過ぎない、と。本当の望みが叶うまでの偽りの代替品、気休めでしかない、と。死ねない僕と、僕を殺して世界を救いたいサクヤは、今日も“恋”をする。でも、それは—決して“幸せ”であるはずがない、世界を欺く恋物語。【「BOOK」データベースの商品解説】