メディア掲載レビューほか
驚異的な経済成長から一転通貨・経済危機へ。グローバル化,市場経済化の中で東南アジアの現状を解読
1997年7月のタイバーツ暴落を契機にアジア経済は,「奇跡の繁栄」から一変してマイナス成長の奈落の底へと落ち込んだ。このアジア通貨・経済危機の不幸は,従来ややもすると安易で表面的だったアジア経済への楽観的評価を戒め,慎重にさせる役割を果たした。もちろん,東南アジア経済への評価も同様である。本書は,そうした通貨・経済危機に巻き込まれた東南アジアの経済危機を,歴史的条件をも踏まえた長期的視野から,市場経済以外の制度的・政治的条件をも加味した政治・経済学的アプローチによって,長年にわたる豊富な現地滞在・調査経験に基づき分析されている。
本書は,東南アジアの経済をテーマごとに4人の共著で掘り下げ,学生向けの教科書として書かれたものだが,実態の状況と連動しており,それぞれの分野で高い専門性を備えている。経済のグローバル化が叫ばれるなかで,いま何が起きているかを知りたい人には必読の書。 (ブックレビュー社)
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